2023年6月1日、国の「こども未来戦略会議」の方針案において、「こども誰でも通園制度」の創設を岸田首相が表明しました。2026年度から全国で始まる予定で、今後は親が働いていなくても誰もが保育園を利用できるようになります。
ワンオペママや、夫婦で育児に行き詰まっている家庭、保育園に入園できなかった家庭にとっては、少しでも子どもを預けられる絶好のチャンス!と思ったのではないでしょうか。
一方で、「何それ?一時保育と何が違うの?大丈夫なの?」とギモンを感じた方もいるかもしれません。子どもを預けるなら、しっかりした制度で安心・安全が確保されていないとイヤですよね。
保育士業界でも波紋が広がりました。
ただでさえ人手不足なのに、また新しい事業を増やすの?一時保育のレベルアップで対応できないの?
と、正直まず感じました…。
そこで今回は、こども誰でも通園制度とは何か、メリット・デメリット・一時保育との違いなどを説明していきます。
「保育園落ちた」「育児に行き詰まりを感じる」「ワンオペがしんどい」というママはぜひ見てくださいね!
参照:こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会
こども誰でも通園制度とは?
「こども誰でも通園制度」とは、こども家庭庁が行う事業です。
普段、保育所などに通っていない家庭の子どもを、保育所や認定こども園などの施設で一時的に預かり、集団生活を通して成長を促します。
また、保護者の子育てに関する相談支援などを行います。
子どもは家庭だけで育てるのではなく、社会全体で育てていこうという理念のもとに作られた制度となっているのです。
どこで行っている?
全国の保育所・認定こども園・幼稚園地域型保育事業・地域子育て支援拠点事業などで実施されます。
2024年6月の時点での参加自治体はこちら。
私が住んでいる東京都でも4自治体しかなく、利用できる人がかなり限られています。早く制度を整えて、全国展開されることを願います。
参照:実施自治体一覧
預ける子どもの対象年齢は?
0歳6か月〜満3歳未満までの子どもが対象です。
利用できる時間は?
月一定時間(1人あたり月10時間で検討されています。)
利用時間に応じて、昼食・おやつの提供あり。
料金はどれくらいかかる?
すでに開始されているモデル事業の実例だと、週1回利用で月額5,000円、週2回利用で月額8,000円となっています。
いつから利用できる?
すでに31自治体50施設にて、モデル事業の検証がスタートしています。
モデル事業の実績を経て本格的に始動するのは、2026年度からとなっています。
こども誰でも通園制度のメリット・デメリット
メリットは?
保護者のメリット
- 子どもを預けることでリフレッシュできる
- 子育てについて相談する機会が持てる
- 社会とのつながりを持ち、孤独感を改善できる
保育園のメリット
- 園児数が減少している保育園の経営を助ける
- 地域の社会資源としての役割を広げられる
子どものメリット
- 同世代の子どもと関わることができる
- 子どもの成長・発達を促すよい機会になる
- 家庭ではできないさまざまな体験ができる
孤独な育児をしている保護者と子どもにとって、メリットがかなり大きいですね。
昼食やおやつを食べさせてくれるのが魅力的!
子どもの食事のお世話って、本当に大変だから…。
メリットが大きくて嬉しい!
デメリットは?
保護者のデメリット
- 費用がかかる
- いつも同じ保育士が担当とは限らない
保育園のデメリット
- 保育士が不足している中、誰でも通園制度に保育士を充てることで保育の質が保てるか不安
- 環境に慣れていない子どもを一時的に預かることで、毎日が慣らし保育のようになってしまい、在園児にも影響が出そう
お昼寝の時間に泣いて眠れないと人手が取られ、保育士の休憩時間や日誌、記録、書類作成、会議、行事準備などさまざまな業務が滞りそう…。
こども誰でも通園制度の検討会取りまとめの文書、<今後の留意点や検討事項>の項目では、以下の項目が書かれています。
・保育士が不足している状況を踏まえ、保育士の労働条件の改善や、地域における保育人材の確保体制の充実・強化に向けた対応を検討すべき
引用:こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会における中間取りまとめについて
・職員配置について、保育の質の確保や専門性をしっかりと発揮できるような形とすべき
事業側も「保育士が不足しているから改善したい」と思ってはいるようですが、すぐにできる改善策は決まっていません。
子どものデメリット
- いつも同じ保育士が担当とは限らない
- 毎日通うわけではないので、慣れるのに時間がかかる
保護者や子どもにとっては、メリットが大きくデメリットは少ないと言えますね。(デメリットはかなり絞り出して書きました!)
保育士の立場から考えると、保育園側の負担がかなり大きいなと思ってしまいます…。
でも、孤立しやすい現代の子育て環境において必要不可欠な制度なので、どんどん利用してほしいです!
でもちょっとギモン。
現在も取り組みとして行われている「一時保育」じゃダメなの?
結局、違いがよくわからないですよね。
そこで次に、一時保育との違いを解説していきます!
一時保育との違いは?
一時保育事業とこども誰でも通園制度の違いを表にしてみました。
一時保育 | こども誰でも通園制度 | |
---|---|---|
位置づけ | 市町村が実施主体となる補助事業 | 現行の「子どものための教育・保育給付」 とは別の「◯◯給付」 (名称精査中) |
実施自治体 | 1269自治体 | すべての自治体 |
事業の内容や目的 | ①家庭での保育が一時的に 困難になった乳児または幼児 ②保護者の負担軽減 →一時的に預かり必要な保育を行う | すべてのこどもの育ちや家庭の支援 0〜満3歳未満 月一定時間内で保育 |
利用方法 | 市町村や事業者によりさまざま | 市町村や事業者によりさまざま |
利用時間 | 利用時間の定めなし 市町村による | 月一定時間まで (2024年度の試行では月10時間まで) |
利用料 | 事業所が直接徴収 (平均1時間300〜400円程度) | 事業所が直接徴収 (一時保育と同じ程度の想定) |
契約・予約方法 | 事業所と直接契約 | 事業所と直接契約 |
こども家庭庁のサイトに書かれた表をわかりやすく書き直したものですが、大きな違いはないように見えます。
一時保育が1269自治体にとどまっているのに対し、こども誰でも通園制度はその目的の違いから、すべての自治体で実施を目指しています。
また、就労などの理由を問わず預けられるのが特徴ですね。しかし、月におよそ10時間までと、利用時間の上限が短いように感じます。
私の勤めていた保育園では一時保育を行っていました。
家庭保育の困難や負担がなくてもOKで、保護者のリフレッシュで利用する方もいましたよ。
ちいさくホンネ(やっぱり、一時保育をレベルアップするのじゃダメなのかな?実施場所を増やせるように補助金を増やしてくれたらいいんじゃない?って思ってしまう…)
まとめ
現在、モデルケースを行いさまざまな検討がされている「こども誰でも通園制度」。
まだ検証段階のため、実施自治体が少ないのが現状。一時保育事業と利用規約に大きな違いがないため、あわせて探してみるといいでしょう。(どちらかと言うと、一時保育の方が利用時間が圧倒的に長いですしね!)
2026年の施行までに「保育園に入っていない、落ちた」という家庭の支援となれるよう、しっかり制度を整えて欲しいところ。保育士の負担を減らすことも真剣に考えていくことが、保護者や子どもの安心に繋がっていきます。
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私は一時保育をもっと利用すればよかったと思っていますが、「やっぱり子どもを預けるのに罪悪感がある」「おじいちゃんおばあちゃんに預けても泣いちゃうのに、知らない保育士さんにいきなり預けるのが心配」など不安な方がいましたら、ぜひコメントしてくださいね!
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